漢方薬は感染症に効くの?

健康セミナー

 1月の健康セミナーを開催しました。
セミナーのテーマは「漢方薬は感染症に効くの?」です。大まかな内容をご紹介します!

病気には、感染症と非感染症がある
 感染症は、人にうつるもの。たとえば、インフルエンザ・コロナ感染症・結核など。
 非感染症は、人から人にうつらないもの。たとえば、けが・がん・高血圧・心臓病・脳血管疾患。

感染症のうつり方
 感染源・感染経路・感受性3つがそろった時に、発症します。逆の言い方をすれば、3つをそろえなければ、発症しないということです!
 感染源とは、感染症の原因となる微生物(細菌、ウイルス、カビ等)を. 含んでいるもの。たとえば、人、動物、食品、血液、体液など。
 感染経路とは、ウイルスや細菌が、私たちの体に入り込んでくる経路。
  空気・・・空気中に漂っているウイルスや細菌を吸い込む
  飛沫・・・くしゃみなどで飛んできたウイルスや細菌を吸い込む
  経口・・・食品や手などについたウイルスや細菌を食べる(ねずみやゴキブリがウイルスや細菌を運んでくることもある!)
  接触・・・ウイルスや細菌が混ざった物・血液・体液をさわる(手に傷があればそこから侵入)
  昆虫・・・ウイルスや細菌をもったダニ・ノミなどに刺される
 感受性とは、身体の抵抗力のこと。同じ状況にいても、感染症にかかるかどうかは、抵抗力=免疫によって差がでてくる。

感染症対策の基本
 感染症対策の基本は、3つの条件をそろわせないことです。
 それぞれの対策としては、
 感染源対策は、消毒・換気・掃除などで、ウイルスや細菌などを減らすこと。
 感染経路対策は、換気・マスク・食品をゆでたりする加熱・手洗い・手袋・虫よけスプレー・ねずみ・ごきぶり駆除などで、ウイルスや細菌などに接する機会を減らすこと。
 感受性対策は、免疫力をととのえる!

西洋医学と東洋医学の感染症に対する対応の違い
 ①西洋医学では、感染の原因を特定するため、ウイルスや細菌を検査によって見つけます。
細菌が原因の場合は、結核菌・肺炎球菌など原因が細菌の場合は、抗生物質を服用して、菌を殺します。(*この時、悪い菌だけでなく、良い菌まで殺してしまうので、抗生物質を服用したあとは、できるだけ質の良い善玉菌を取り入れるようにしてくださいね!当店では、酵素飲料やフェカリンなどとともに、食生活の養生についてお話します)
ウィルスが原因の場合は、ウイルスを殺す薬はないので、抗ウイルス薬でウイルスが増えるのを邪魔するお薬を使います。インフルエンザのときは、タミフル・リレンザ。コロナ感染症には、ゾコーバ・ラゲブリオなどが有名ですね。
 さらに発熱すれば解熱剤。咳があれば、咳止め。という感じが一般的です。

 ②東洋医学では、感染症の原因を邪(じゃ)と考えます。
病気は、正気(せいき)と邪気(じゃき)が戦いです。正気とは体の元気さのことで、気血水・陰陽など、人が生きるための自然治癒力や、生きるための力を意味しています。正気が正常であれば、邪に負ける可能性は低くなります。
 邪は6種類あります(六淫りくいん)=風・寒・湿・熱・燥・暑
 ・風邪(ふうじゃ)
  風による邪のこと。風に吹かれ過ぎると、疲れたり、筋肉がひきつったりします。他の邪を運んできます。寒邪を運んでくると風寒、湿邪を運んでくると風湿、熱邪を運んでくると風熱という具合です。
 ・寒邪(かんじゃ)
 寒さの邪です。寒邪は寒い冬の季節に起こりやすく、寒くて冷たいといった特徴があります。薄着をしたり、冷たい飲食物をとったりすると、寒邪はカラダに侵入しやすくなります。カラダが冷えると気血水の働きにも影響を与えるため、カラダのバランスが崩れやすくなります。
肩がこる・足腰が冷える痛い・お腹が冷えることは寒邪が原因のことが多いです。
対策は、温める。漢方処方は、葛根湯。

湿邪(しつじゃ)
 湿気の邪です。雨が多い梅雨の時期に起こりやすい。湿気は、五臓の脾(胃腸)に影響を与えやすいため、水分がカラダに影響をおよぼします。湿邪は、湿気の影響で起こるため、カラダの上部から下部へと症状が移行することがあります。
カラダがだるい・むくみ・頭が重い・下痢などは湿邪が原因です。
対策は、乾かす。漢方処方は、五苓散。

・熱邪(ねつじゃ)
 暑さよりもっと熱い邪です。火邪ともいいます。暑邪と同じく気温が高くなると起こるため、肌が赤くなる・腫れる・痛みがあるなど、カラダの一部が化膿したり、炎症が起きたりすることがあります。火邪がカラダに侵入すると、吐血・血尿・血便・高熱などの症状が起こります。
インフルエンザは熱邪が原因です。
対策は、冷やす。漢方処方は、銀翹散。

燥邪(そうじゃ)
 乾燥した邪です。秋に起こりやすく、乾燥した空気がカラダの表面やカラダの中に影響をおよぼすといった特徴があります。乾燥した空気は、カラダの表面や中の水分をうばうため、肺にも影響がでやすいです。空咳・髪の毛や皮膚のかさつきは、燥邪が原因です。
対策は、潤す。漢方処方は、麦門冬湯。

 ・暑邪(しょじゃ)
 暑さの邪。5月~7月の春から夏にかけて起こりやすく、炎のように熱がある・上昇する・発散するといった特徴で、湿邪と一緒に侵入することもあります。暑邪は、気温が高くなると起こるため、カラダが炎のように熱くなり、エネルギーを発散させるため、気血水のバランスが崩れやすくなります。
暑邪がカラダに侵入すると、高熱・顔が赤い・口が乾く、大量に汗をかくなどの症状が起こります。
熱中症は暑邪が原因です。
対策は、冷やす。漢方処方は、白虎湯。

漢方薬は、病名で処方するものではないので、上記にあてはまらないことも多いです。なので、脈や舌の状態、様々な症状から、病因を考え漢方薬を選んでいきます。

コロナ感染症に対する漢方薬
 コロナ感染症の場合は、同じコロナウイルスでも、邪の種類が時々変わります。西洋医学的に言えば、デルタ株・オミクロン株・XBB株などのウイルスの変異です。なので、季節性の感染症ではなく、年中流行しますし、処方する漢方薬も変わってきます。
 病気の予防の場合には、生気を高める補中益気湯もおススメです。
また、コロナ感染症が長引いてしまった場合(こじれた場合)には、小柴胡湯がおススメです。

個別のご相談には、メールまたはご来店にて、ご相談を受けますので、ご気軽にご相談くださいね~。

今回の健康セミナーの詳しい内容はYouTubeに載せてますので、よかったらご覧ください!
美泉堂薬局 西谷 啓

 

 

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