突発性難聴の原因と対策
ある朝、突然耳が聞こえなくなったら——。
そんな経験をされた方はいませんか?
耳の不調は、日常生活に大きなストレスを与えるものです。
今回は「突発性難聴」について、原因と対策をわかりやすくご紹介します。
【1】突発性難聴とは?
突発性難聴とは、原因がはっきりしないまま、突然片方の耳の聴力が低下する病気です。
主に以下のような症状を伴います。
- 急に片耳が聞こえにくくなる(多くは片耳)
- 耳が詰まったような感じ
- 耳鳴りやめまいを伴うことも
30〜50代に多く見られますが、最近では若い世代や高齢者にも増加傾向にあります。
発症後すぐの対処が重要!
突発性難聴は、発症から72時間以内の治療開始が重要とされています。
早期に治療することで回復の可能性が高まります。
日本での発症状況
- 発症頻度:人口1万人あたり年間約3人
(福山市では年間約135人が発症と推定) - 男女比:やや女性に多い傾向
【2】医学的な診断基準(日本耳鼻咽喉科学会)
突発性難聴は、以下の3条件を満たすことで診断されます。
- 突然の発症(多くは朝起きたときに気づく)
- 原因が特定できない(中耳炎・腫瘍・メニエール病などがない)
- 感音性難聴(内耳または聴神経の障害による聴力低下)
聴力検査では、500Hz・1000Hz・2000Hzの3つの音の平均で30dB以上の聴力低下があれば診断されます。
【3】突発性難聴の主な原因
① 血流障害説
内耳はとても細い血管で栄養されています。血流が悪くなると、耳の機能にも影響が出ます。
② ストレスや自律神経の乱れ
過労や緊張、不安などが自律神経を乱し、内耳への血流を減らすことで発症につながると考えられています。
③ 漢方的な視点:肝と腎の関係
- 「腎」は聴力と深い関係
東洋医学では、腎は生命エネルギーの源とされ、耳の働きとも密接に関わっています。 - 「肝」はストレスと関係
「肝鬱気滞(かんうつきたい)」という状態は、ストレスにより気の流れが滞り、血流や神経に影響を与えます。
【4】もし発症したら…
できるだけ早く耳鼻科を受診しましょう。
特に発症から72時間以内が勝負です。
漢方薬の併用も有効とされています。
◆ 耳鼻科での主な治療法
- ステロイド療法(第一選択)
プレドニゾロンなどを内服または点滴。重症例では鼓膜に注射するケースも。 - 血流改善薬
内耳の血流不足に対して、リマプロストなどを使用。 - 高気圧酸素療法
特殊装置で酸素を吸入し、内耳への酸素供給を改善。
◆ 治療の結果(予後)
- 約1/3が完治
- 約1/3は軽快するが耳鳴りや聴力低下が残る
- 約1/3は改善が見られない
【5】予防とセルフケア
◆ 漢方薬局からのご提案
以下の漢方薬がよく使われます。
症状・体質 | 使用される漢方薬 |
---|---|
腰痛・頻尿がある | 八味地黄丸(はちみじおうがん) |
ストレスが強い | 加味逍遙散(かみしょうようさん) |
神経が高ぶりやすい・血圧高め | 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) |
◆ 「腎」を養う食事と習慣
- 体を冷やさない(特に首・耳まわり)→温灸もおすすめ!
- 黒い食材をとる(黒豆、黒ごま、きくらげ、昆布など)
- 粘りのある食品(山芋、銀杏、納豆など)
◆ 「肝」を整える習慣
- 良質な睡眠をとる
- ストレスをためない工夫をする
- 季節の変化(特に春)に注意し、無理をしない
【6】耳を守るマッサージ・体操
- 耳たぶ回し:前後にそれぞれ10回
- 耳の上部引き上げ:数秒キープを数回
- 肩甲骨体操:肩を後ろに引く、肩回しなどを習慣に
最後に
突発性難聴は、誰にでも起こりうる疾患です。
ストレスや疲労、冷えなどが原因になることも多いため、
日頃からのケアがとても大切です。
「なんだか耳が変?」と思ったら、早めに受診し、
必要に応じて漢方で体のバランスを整えていきましょう。
聞こえが戻る!ハリで治す突発性難聴 (Nanaブックス) [単行本] 藤井 徳治【中古】 価格:1,850円(税込、送料無料) (2025/7/11時点) |